古いホームページは「作り直し」と「部分改修」どっちが得か?判断基準を自社店舗の実例で解説【2026年版】
株式会社atme 編集部 / 公開 2026年9月29日 / 更新 2026年9月29日
結論から言うと、「サイトの目的(今なら予約や問い合わせ)を、今の構造のまま実現できるか」で決めます。できるなら部分改修、できないなら作り直しです。見た目の古さや制作からの年数は決め手になりません。私たちは自社のバーとジムのサイトをどちらも「作り直し」と判断しましたが、理由はデザインではなく「予約の受け口がない構造」と「既製テーマの制約」でした。この記事では、その判断の手順を表とチェックリストでまとめます。
「作り直し」と「部分改修」は何が違うのか?
ホームページの作り直しとは、ページ構成・テンプレート(WordPressならテーマ)・導線を設計し直し、サイトの骨格ごと入れ替えることです。部分改修は、骨格はそのままに、特定のページ・パーツ・表示崩れを直すことを指します。
| 部分改修 | 作り直し | |
|---|---|---|
| 変えるもの | 特定ページ・文言・画像・表示崩れ | ページ構成・テーマ・導線・フォーム |
| 変えないもの | 骨格(テーマ・URL構造・ページ数) | ドメイン・過去の資産(写真・ロゴ・評価) |
| 向いている状態 | 目的は今の構造で達成できるが、情報が古い/一部が壊れている | 目的に必要な機能やページが構造上作れない |
| 主なリスク | 継ぎはぎが増え、次の改修がさらに高くつく | URL変更で検索評価を落とす・移行漏れ |
| 期間の目安 | 短い(範囲次第) | 長い(設計から入るため) |
どちらが「得」かは、金額の大小ではなく、3年後にもう一度お金をかけずに済むのはどちらかで比べるのが実務的です。
作り直すべきか、どう判断すればいい?
次の5つの質問に答えてください。「いいえ」が2つ以上なら作り直しを検討、0〜1つなら部分改修で十分なことが多いです。
| # | 質問 | 「いいえ」の場合に起きていること |
|---|---|---|
| 1 | サイトの目的(予約・問い合わせ・応募)を受け付ける仕組みがサイト内にあるか? | 電話・DMに頼り、夜間や営業中の取りこぼしが出る |
| 2 | 必要なページ(料金・アクセス・FAQ・新サービス)を今の構成に足せるか? | 1ページに詰め込むしかなく、検索にもAIにも拾われにくい |
| 3 | テーマやテンプレートの制約を、回避策なしで運用できているか? | 計測タグ1つ入れるにも抜け道が必要になっている |
| 4 | 社内の誰かが、文字と写真を自分で更新できるか? | 更新が止まり、情報が古いまま放置される |
| 5 | ドメイン・サーバー・管理画面の権限を自社で把握しているか? | 改修以前に、引き継ぎと権限回収が必要 |
5番だけは例外です。「いいえ」なら、作り直しか改修かを決める前に権限の確認が先です。ここが曖昧なまま工事を始めると、途中で止まります。
私たちの店舗サイトはなぜ「作り直し」を選んだのか?
atmeは開発会社ですが、那覇でマッスルバー「Sofcho」とスポーツジム「GEED」を運営しています。2026年、この2店舗の公式サイトをどちらも作り直しました。判断の中身をそのまま書きます。
Sofcho(マッスルバー)の場合
- 現状: WordPressの既製テーマ「Snow Monkey」による1ページだけのサイト。予約の受け口はなく、連絡手段は電話とInstagramのDMのみでした
- 作りたかったもの: 通常予約・団体貸切・出張サービス(新設)をフォームで受け付け、メニュー・アクセス・FAQを別ページで持つ構成
- 判断: 上の質問1と2が「いいえ」。1ページの中に予約フォームと複数サービスを継ぎ足すと、導線が混ざって使いにくくなるため作り直しを選択
- 既製テーマの制約: 旧サイトでは、テーマが出力する大きなインラインCSSの影響で、計測タグを標準の方法で入れられず、別プラグイン経由の回避策で入れていました(質問3が「いいえ」)
GEED(スポーツジム)の場合
- ジムのサイトの目的を「LINE登録・無料体験・入会・来店・Instagramからの受け皿」と定義し直した結果、既製テーマの枠の中では導線を組みにくく、自社で1から作るテーマに切り替えました
- GEEDで作った手順(要件をまとめる指示書→SEO方針→素材整理→テーマ実装→反映手順)を、そのままSofchoにも使っています。作り直しは、型があれば2回目から速くなります
作り直しで「捨ててはいけないもの」は何か?
作り直しは骨格を入れ替えますが、過去の資産まで捨てる必要はありません。Sofchoの作業中に、実際に次のことがありました。
- 旧サイトの管理画面に資産が残っていた: 旧WordPressのメディア(画像の保管場所)に、公式ロゴ・名前付きのキャスト写真・プロが撮った店内写真が残っていました。新サイトのロゴとスタッフ紹介に再利用しています。作り直す前に、旧サイトの画像を一度すべて棚卸ししてください
- URLの設定で全ページが開かなくなっていた: 新テーマを有効にした直後、URLの形式設定(パーマリンク)が古いままだったため、新しく作ったページがすべて「ページが見つかりません(404)」になっていました。設定を直して全ページが表示されることを1件ずつ確認しています。作り直し後の全URL確認は必須の工程です
- ドメインの期限を確認していなかった: 作業中の確認で、サイトのドメインの更新期限が目前に迫っていることが分かりました。更新されなければ、どれだけ良いサイトを作っても表示されません。作り直しの前に、ドメインとサーバーの契約者・期限を必ず確認してください
どれも「デザイン」の話ではありません。作り直しの失敗は、見た目より移行の抜け漏れで起きます。
部分改修で十分なのはどんなケースか?
次のような状態なら、作り直しより部分改修が得です。
- 問い合わせフォームはあり、目的の受け付けはできている。直したいのは料金・写真・スタッフ情報が古いこと
- スマホで一部の表示が崩れているが、ページ構成には不満がない
- 新サービスが1つ増えたが、既存の構成に1ページ足せば収まる
- 社内で更新はできているが、トップページの見せ方だけ変えたい
部分改修の注意点は、継ぎはぎを重ねすぎないことです。改修のたびに回避策が増えている(質問3が「いいえ」に近づいている)なら、次の改修は作り直しと一緒に検討する時期です。
見積りはどう比べればいい?
金額の相場は業種・ページ数・機能で大きく変わるため、ここでは比べ方だけを書きます(相場感は「ホームページリニューアルの相場と失敗しない進め方」をご覧ください)。
| 比べる項目 | 部分改修の見積りで確認すること | 作り直しの見積りで確認すること |
|---|---|---|
| 範囲 | どのページ・どのパーツを直すか明記されているか | 旧サイトの資産の移行(画像・文章・URL)が含まれているか |
| 検索への影響 | URLを変えないか | 旧URLから新URLへの転送(リダイレクト)設計があるか |
| 公開後 | 直した箇所の動作確認の範囲 | 全ページの表示確認・フォームの送信テストが含まれるか |
| 運用 | 自社で更新できる状態が保たれるか | 公開後に誰が更新するか、更新方法の引き渡しがあるか |
安い見積りは、たいてい右列のどれかが抜けています。
よくある質問
Q. 制作から何年たったら作り直すべきですか?
A. 年数だけでは決まりません。5年前のサイトでも目的を受け付けられているなら部分改修で十分ですし、1年前のサイトでも予約の受け口がなければ作り直しの対象です。この記事の5つの質問で判断してください。
Q. 作り直すと検索順位は下がりますか?
A. URLを変える場合、旧URLから新URLへの転送を設定しないと評価を引き継げず、下がる可能性があります。作り直しの見積りに転送設計が含まれているかを必ず確認してください。
Q. 既製テーマのまま部分改修を続けるのはダメですか?
A. ダメではありません。ただ、計測タグやフォームを入れるたびに回避策が必要になっているなら、テーマが目的に合っていないサインです。私たちの店舗サイトはこのサインが出た時点で作り直しました。
Q. 作り直しの間、今のサイトは止まりますか?
A. 止めずに進められます。本番とは別の確認用環境で新サイトを作り、完成してから切り替えるのが一般的です。
まとめ:迷ったら「目的を受け付けられるか」から考える
- 判断基準は見た目や年数ではなく、目的(予約・問い合わせ・応募)を今の構造で受け付けられるか
- 5つの質問で「いいえ」が2つ以上なら作り直し、0〜1つなら部分改修
- 作り直すなら、旧サイトの資産の棚卸し・全URLの表示確認・ドメインとサーバーの期限確認を工程に入れる
全体の進め方は「ホームページ制作・リニューアル完全ガイド」にまとめています。自社サイトが作り直しと部分改修のどちらに当たるか判断がつかない場合は、現状のサイトURLを添えてatmeにご相談ください。5つの質問に沿って、作り直しが本当に必要かどうかからお答えします。
atmeは、自らも飲食店・ジム・美容室を経営する開発会社です。だから「作って終わり」にせず、現場が使い続けられるWeb・システムを、月額の運用まで含めて引き受けます。
執筆: 神谷大吾(株式会社atme 代表取締役)。Web・業務システムの受託開発200件以上。自らも飲食店・ジム・美容室を経営し、「作って終わりにしない」Web運用を実践している。
(2026年9月時点の情報です)
